難病対策切り捨てない国に

10日ほど前、「難病に係る新たな医療費助成の制度案」が厚生労働省の難病対策委員会から出された。
この施策が実現すれば、2人世帯で世帯年収400万円のモデルケースにおける特定疾患者の負担額は現行の月1万5000円から月4万4400円へ、ほぼ4倍に増加する。
一時的な傷病と異なり、難病の場合、生涯続くことが多いため多額の負担が生じることになる。
難病医療費等助成制度は、保険ではなく難病研究の一環として位置付けられている為、現行制度では特定疾患に指定されない限り、難病であっても助成が受けられず不公平感が生じていた。
そこで、対象疾患数を増やす代わりに、この助成制度の患者負担を引き上げ、より一般の傷病に対応しようというのが改正案である。
しかし本来、難病患者の医療費は研究のための難病対策費ではなく医療保険によって賄われるべきである。
ある日突然、普通の生活を送っていた私たちを襲う病気、それが難病である。決して他人事ではない。その万が一に備えるという保険の役割からすれば、自己負担の上限額はもっと引き下げられるべきであろう。
改革は大切だが、社会制度の隙間に落ち込んでいる人に光が当たらなければ何のための改革か分からない。一部の人を切り捨てる社会はそれ自体で貧しい社会である。難病問題は一部の人たちだけの問題ではない。私たち全てがかかり得る病なのだから。

朝日新聞2013年10月29日

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