“生きているこの瞬間、瞬間が挑戦であり闘いだ”

重度障害を乗り越え、博士論文に挑んでいる 天畠大介さん(31)

 14歳の時、急性糖尿病で心肺停止状態になったのが原因で、自分では動くことも言葉を発することもできない。色や立体はある程度分かるが、文字は読めない。時々あごがはずれ、放っておくと窒息する。生きるためには24時間の介助が必要だ。
 意志は通訳者を介して伝える。
「あ・か・さ・た・な…」と順に発音してもらい、腕などをわずかに動かして合図を送る。行が決まったら、さらに「さ・し・す・せ…」と発音してもらって反応、1文字1文字を紡ぎ出す。
 養護学校を出た後、猛勉強する一方で入試時間の延長などを交渉し、2年がかりでルーテル学院大(東京都)に合格。ノート取りや食事など友人らの助けを借りて通学、卒業した。2010年から立命館大大学院(京都市)で障害者のコミュニケーション法について研究する。授業は主にインターネット電話で受け、大学院生ら6人が文献調べや国内外でのインタビュー調査、論文執筆を支援する。
 この夏、熊本で講演した。会場で発表に必要なパソコンを飛行機に忘れたことに気づいた。真っ青になる介助者に「泣くなよ」と伝え、大笑いした。困難も楽しんでしまう余裕とユーモアが周囲を魅了する。そのあと落ち着いた介助者がメモリーを持っていたことを思い出し、講演はことなきを得た。

朝日新聞2013年10月23日

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